財政課、それは僕が県庁に採用されて最初に配属された部署です。
地方公務員の数ある部署の中でも断トツで忙しい部署として有名ですね。
自分が務める県庁でも例に漏れず財政課は激務な部署でした。
何度も心が折れそうになりましたが、次の異動までの辛抱だと踏ん張って、なんとか3年間勤め上げました。
なぜ僕は乗り切れたのか!?
財政課時代を振り返り、その理由を考えてみました。
財政課に配属されると知ったときはそれほど深刻に考えてなかった
僕の中で財政課は、優秀な職員が多い花形部署という印象がありました。
その花形部署に自分が配属される!しかも新規採用職員で!
これは期待されている証拠です。そう思い、素直に嬉しい自分がいました。
一方で、忙しい部署という印象も強く、とても厳しい職場だという話も聞いていたため、不安もありました。
とはいえ、言っても公務員です。
当時の僕「公務員にとっての忙しいなんて、どうせ民間で言ったら少し忙しい程度だろう、まあなんとかなるっしょ~」
くらいの感じで、あまり深刻に考えていませんでした。
財政課での仕事は辛いことばかりだった
深刻に考えてなかった僕は、配属されて早々に失望を味わいました。
僕が考えていたレベルを軽く超えた忙しさだったからです。
やはり激務!残業や休日出勤なんて当たり前
残業や休日出勤はかなり、というかとてつもなく多かったです!!
命じられるというよりは仕事の量が多くて残業や休日出勤をしないと終わらないという感じでした。
この状況は僕が入庁1年目でまだ仕事のスピードが遅かったからというものではないと思っています。
というのも、2年目以降も同じ状況でしたし、課内の先輩職員たちも同じ状況だったからです。
当時の生活は、食事はすべて職場で済ませ、家に帰ったらシャワー浴びて寝るだけという毎日でした。
忙しい時期は職場に泊まることもありました。
事業をやった経験のない僕が事業の予算査定をするという苦行
もちろん予算査定も担当しました。
一度も事業を経験していないし、財政的な仕組みだって何一つ知らない状況でしたので、とても苦労しました。
上司や担当部局の方が話す言葉の意味がほぼわからない、、、
ただひたすら勉強しつつも毎日怒られながら予算査定をしていました。
今振り返ると、とんちんかんな査定をいくつもやってしまっていたなと思います。
折衝相手は自分よりも役職が上の職員ばかり
財政課で担当した業務のほとんどは他部署との折衝・調整でした。予算査定なんてその最たるものですね。
相手が自分よりも役職が上なことが多かったので苦労しました。こちら入庁数年の若造に対して、相手は大体係長クラスがやってきます。
初めのうちは、生意気だと思われたくないとか嫌われたくないとか、そんなことを思って結構遠慮をしていました。
しかし、段々と仕事に余裕が無くなってくるとそんなことは言ってられなくなり、気がつけば、相手が係長クラスでも遠慮なくガチンコバトルを繰り広げるようになってました。
緊張感だらけの議会関係の仕事にも携わる
普通、議会に関係する仕事に若手職員が携わるケースは少ないと思います。
しかし、若手だったにもかかわらず、財政課では議会に関係する仕事にも携わりました。
あまり詳しくは書けませんが、議会答弁に関係する仕事もあり、かなりの緊張感を味わった記憶があります。
なので、年4回開かれる定例議会が近づいてくると、毎回気持ちが落ちていました。
しかも、当初予算の査定をしている時期(秋から冬にかけて)なんて、査定と議会の時期が重なるのでとんでもない仕事量になっていました。
財政課で結果を出すために僕がやったこと
とにもかくにも
人一倍働いて人一倍勉強しました
期待した答えと違ってガッカリされている方もいるかもしれませんが、すみません、マジでこれしかないっす…
人一倍働いた
残業や休日出勤が多かったと言いましたが、おそらく庁内の同年代の職員の誰よりも仕事をしたと思います。
経験が乏しく仕事ができないから時間がかかっていた分もありますが、純粋な仕事量としてもかなりの量をこなしたと思っています。
もちろん残業や時間外を沢山したことを誇っているわけではありません。
むしろ残業をせずに仕事を終わらせることのほうが誇れることだと思っています。
しかしながら、いま振り返ってみても
事実としてあれだけの量の仕事をこなせたのは、人一倍働いたからだと思っています。
- 人一倍働いたから、そのぶん他人より多くの仕事をこなせた
- 人一倍働いたから、そのぶん早く成長でき、早く成長できたぶん多く仕事をこなせた
こういうロジックです。
財政課から異動した後、上司や先輩から「若いのによくあれだけの仕事をこなせたよね」と言ってもらったので、ある程度客観的にもそう思っています。
人一倍勉強した
仕事以外の時間は休息に充てる、つまりしっかり寝るということを最優先していましたが、その次に優先していたのは勉強でした。
予算査定をやっていたときは、『地方財務実務提要』や『地方財政関係質疑応答集』、『地方財務ハンドブック』などから必要な箇所を抜粋してかなり読み込みましたし、交付税や地方債に関する書籍もいくつか読みました。
また、『地方財政小辞典』を自費で購入して常に手元においていました。
分からない用語が出てくるたびにパラパラとめくって調べていましたね。
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■自治体の財政担当になったら読む本
僕が財政課時代にはまだ出ていたなかったはずです。
図書館に置いてあったので読んでみましたが、予算編成についても分かりやすくまとめられているだけでなく、財政の仕事を広く網羅しており、良書だと思いました。あまり意識されない「一時借入金」について書かれてあった点も好印象ですね。
それと、第8章と第9章が先輩からコツを教わる感じで書かれてあって個人的に好きですね。財政課経験者の僕から見ても良いこと書いてるなあと思いました。
第8章 財政担当の仕事術
8-1 財政担当の三方向の交渉
8-2 効率的に資料を読み解くコツ
8-3 低い理想と早い妥協
8-4 相手にしゃべらせる
8-5 できないことにはNOと言う
8-6 譲歩を引き出すテクニック第9章 財政担当職員の心得
9-1 エリート意識を持つ・捨てる
9-2 住民目線・市民感覚を忘れない
9-3 現場主義に立つ
9-4 論理的に物事を整理する
9-5 コミュニケーションを大切にする
9-6 必ず1つは得意分野を持つ
9-7 固定観念を捨てる
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話を戻しますね。
これは余談になってしまいますが、財政課時代には予算査定だけでなく、起債や地方債の返還、基金も経験したので、そのときは債券(公債)の勉強もしました。
債券の勉強に関しては書籍で勉強するだけでなく、営業に来る証券会社や銀行の方にわからないことを質問して学んでいました。
こちらの記事にまとめていますのでぜひご覧になってください。
強い精神力と体力があったからこそ人一倍勉強して人一倍働けた
人一倍勉強して人一倍働いたから結果を出せた。
とてもシンプルなものです。
しかし、このシンプルなことが意外と難しかったりします。
僕はなぜそれが出来たのか
それは、次の2つの気持ちを持てたことと、最後まで全力で走り切るだけの体力があったことが要因でしょう。
この3年間はすべて仕事に捧げてでも結果を出してやる!という負けん気
基本的に僕は仕事に関して負けず嫌いです。
なので当時も、大変な職場であっても新規採用職員であっても仕事で結果を出せないということがすごく嫌でした。
結果を出せないくらいなら、プライベートな時間がなくなってしまっても結果を出すほうがましだ!
この思いから、
この3年間はすべて仕事に捧げてでも結果を出してやる!!
と決意しました。
ここを乗り切えたとききっと自分は大きく成長しているはず!という期待
基本的に人間はリターンが期待できないと頑張れません。
この大変な財政課を乗り切えられたらきっと自分は大きく成長しているはず!
僕は、自分の成長というリターンを期待することでモチベーションとしました。
最初のほうは自分に言い聞かしている感じでした。
しかし、少しずつ仕事ができるようになり、周りから評価されるようになってくると、このリターンは確実なものだと思うようになってきました。
結果的には、そう思えるようになれたから最後までモチベーションを保てたと思っています。
激務にも耐えられるだけの体力
精神面は説明しましたが、当然体力も必要でした。
慢性的な寝不足、滅多にない完全オフ、不規則な食生活
かなり体を酷使しました。
何度か体調を崩すことはありましたが、長期の離脱を要するほど体を壊すことがなかったのは、耐えられるだけの体力があったからこそだと思います。
健康に産んでくれた両親に感謝しかありません。
ただ、たまたまこういう結果だっただけで、実際は体を壊すか壊さないかの紙一重のところだったのかもしれないとも思っています。
(最後に)頑張りすぎないこと
以上が、自分なりに考えた、最初の配属ながら財政課でなんとか結果を出せた理由です。
僕は、財政課での経験を通して、苦労した分と同じかそれ以上のリターンが得られたと思っています。
その点についてはこちらの記事にまとめていますので、興味のある方はお読みください。
この記事に書いているように財政課での経験で得られたものは沢山ありますし、どれも貴重なものです。
しかし、僕は同じような経験・働き方を推奨したいわけではありません。
昨今、働き方改革という言葉が取り沙汰されるように時代は変わりつつあります。僕が財政課で経験したような働き方は良しとしない世の中ですし、そんな働き方が求められる職場は少なくなっています。現に僕がいた財政課も当時と比較すると時間外も随分と減ってますしね。このことはとても良い傾向だと思っています。
ではなぜ僕はこの記事を書いたのか
それは、僕が財政課で経験したような働き方が求められる職場が世の役所には未だに存在しているからです!
そのような職場で大変な思いをしながら頑張っている職員の方に、僕の体験を伝えることで少しでも支えになれればいいなと思っています。
体を壊したら元も子もありません。
頑張りすぎないで
実はこれが一番届けたい言葉だったりします。
[追伸]
激務になりやすい人の特徴について僕なりにまとめた記事があるので、興味のある方はぜひそちらもお読みください↓↓
また、当ブログの財政課に関する記事をこちら↓↓でまとめていますので他の財政課関連の記事を読みたい方はこちらからどうぞ↓↓