公務員時代の私はいわゆる激務でした。
月の時間外労働が100時間を超えることは珍しくありませんでしたし、職場に泊まることも頻繁にありました。

一方で、同じ公務員さらには同じ部署であっても「激務じゃない人」は沢山いました。むしろ公務員全体で見た場合、「激務じゃない人」のほうが大多数でしょう。
そうした中で少数派である「激務な公務員」になるということには、ある程度理由があると思っています。
そこで今回は「『公務員の中でも激務になりやすい人』はどういう人か?」ということについて、実際に激務な公務員だった私がお話したいと思います。
目次
抱えている仕事量に極端な差がある役所という職場

「公務員の中でも激務になりやすい人」がどういう人かをお話しする前に、まずは役所という職場における「ある特性」を理解しておく必要があります。
役所では一部の職員に仕事が集中しがち

自治体や省庁によって異なりますが、経験上、役所では一部の職員に仕事が集中する傾向があります。
「働きアリの法則」や「パレートの法則(80:20の法則)」を思い浮かべていただければ理解しやすいと思います。“一生懸命に働いているアリさんは全体の2割程度しかいなくて、しかもその2割のアリさんだけで全体の食料の約8割を集めている”というような法則ですね。実際に役所で働かれている方は「あ~なるほど」と共感できるのではないでしょうか。
上司は「きちんと仕事をこなしてくれる数少ない部下」にしか大事な仕事を任せられない
ではなぜ一部の職員に仕事が集中するのでしょうか。
それは簡単に言うと、上司が大事な仕事や困難な仕事を一部の職員にしか任せられないからです。
役所には世間一般に思われている以上に「仕事がデキない職員」がいます。加えて、役所で働く職員のほとんどは定期的に部署異動があるため、上司にあたる中間管理職の多くが部下の仕事をきちんと理解していないですし、その上マネジメントも上手くできない傾向にあります。
そんな上司が「仕事のデキない職員」に仕事を任せるとどうなるでしょうか。
その仕事は確実に期限までに終わらないですし、最悪の場合、取り返しのつかない事態になってしまいます。
当然、上司はそんな事態は避けたいので、ルーティンワークではない仕事は「きちんと仕事をこなしてくれる部下」にしか任せません。
その結果、「仕事がデキる職員」ばかりに仕事が集中するというわけです。
「公務員でも激務になりやすい人」はこんな人

同じ「仕事のデキる部下」であっても、上司にとっては「仕事を振りやすい部下」と「仕事を振りにくい部下」とがいます。当然「仕事を振りやすい部下」のほうにより多く仕事が集中することになります。
「仕事を振りやすい部下」には沢山の仕事が振られるわけですから、その量が通常の勤務時間内で処理できる量を超えていまうとその職員は仕事を放棄しない限り過重労働を強いられることになります。
このような理由から、私は「上司から見て仕事を振りやすい職員」こそ「激務になりやすい人」だと考えています。
では「上司から見て仕事を振りやすい職員」とは具体的にどういう人でしょうか。
具体的に説明していきます。
①どんな仕事も器用にこなせる人

まず最初は「どんな仕事も器用にこなせる人」です。
困難な仕事や複雑な仕事は数少ない「仕事がデキる職員」に任せることになるのですが、「仕事がデキる職員」であっても得手・不得手はあるのでどの仕事でも任せられるというわけではありません。
事務系公務員は業務内容が多岐に渡ります。なので、その困難な仕事や複雑な仕事はその仕事の種類によって捌ける職員がさらに限られてしまいます。
ですから、どんな仕事も器用にこなせるジェネラリスト的な職員は上司にとって非常に使い勝手が良いため「仕事を振りやすい職員」と言えます。
②真面目で責任感の強い人
「真面目で責任感の強い人」は自分のキャパ以上に仕事を抱え込みがちです。
「この仕事は自分にしかできない」、「この仕事を私がしないと住民に迷惑をかけてしまう」といった意識が強いので、自分一人では捌ききれない量の仕事を担当させられたとしても、無理をして自分一人でなんとかしようとしてしまいます。
このような職員は上司からすれば頼りやすい部下に映りますので、キャパオーバーをしている状況でも仕事を振ってしまうということが起こりがちです。
③誰からも嫌われたくない人
「誰からも嫌われたくないと思う人」も「真面目で責任感の強い人」と同じく、自分のキャパ以上に仕事を抱え込みがちです。
「頼まれた仕事を断ると上司に嫌われるのではないか」、「この仕事を私がしないと同僚に迷惑をかけて嫌われてしまうのではないか」といった風に考えてしまうため、自分一人では捌ききれない量の仕事を担当させられても無理をして自分一人でなんとかしようとしてしまいます。
このような職員は上司にSOSを出したり反抗したりすることがあまりないので、キャパオーバーをしている状況でも上司は気づかずに仕事を振ってしまうということが起こりがちです。
また、中には部下のキャパオーバーに気づいていても気づかないふりをして仕事を振るような酷い上司だっています。
(これだけは伝えたい)“度を過ぎた激務”や“慢性的な激務”は絶対に回避すべし

以上が「公務員でも激務になりやすい人」に共通する特徴でした。
私自身、県職員時代どの部署どの係に行っても残業だらけの日々でした。
実際に上記の特徴も3つともすべて当てはまっています。
そんな私が思うのは、正直このような激務な働き方は推奨できないということです。また、そういう働き方をしなくてもいいように(むしろできないように)役所が変わるべきだと思います。
社会人ですからある程度の負荷はあってよいと思いますし、むしろ成長のために必要な経験だとも思っています。しかしながら、度を過ぎていたり慢性的な激務はメリットよりもリスクのほうが遥かに大きいです。過重労働は心にも身体にも大きな負担をかけます。
「自分は大丈夫」「自分はこれくれいでは病気にならない」なんて考える人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。人間、思っている以上に簡単に病気になります。
業務量をきちんとコントロールしてくれる職場であればよいですが、そうじゃない場合は自分の身は自分で守るしかありません。
自分が処理できる適切な業務量を知り、上手に仕事量をコントロールすることが肝要です。


(最後に)激務なときは睡眠を最優先に適度な息抜きをしよう!
どうしても激務から抜け出せないときもあると思います。
そんなときは仕事から帰ったら睡眠を最優先にすべきです。睡眠は心と身体どちらにとっても非常に重要なものですからね。
そのうえで、睡眠に支障のない範囲で適度に息抜きをすることをオススメします。
こちら↓↓の記事では、残業で疲れているときに仕事から帰って寝るまでにできる息抜き方法を紹介しています。
ぜひ参考にしてください。

また、こちら↓↓の記事では、激務を経験することについての僕の考えをまとめていますので、こちらの記事もどうぞ。
