キャリアアップ・経験

希望が通る異動希望調書とは?元県庁職員が教える正しい書き方

【事務系の地方公務員向け】希望が通りやすい異動希望調査の書き方

自治体によって名称や形式が多少異なるかもしれませんが、どの自治体でも異動希望調査が行われていると思います。この調査で職員の異動希望が確認されるわけですが、なかなか希望どおりには異動できないのが現実です。

そうした中、僕は県職員時代に希望する部署に配属されたことがあります

なぜ希望が通ったのか。自分なりに分析した結果、異動希望先の書き方が良かったことも一つの要因ではないかという結論に達しました。

というわけで今回は、公務員時代に僕が実際にやっていた異動希望先の書き方をお教えしたいと思います

異動希望調査の中で特に重要なのが「どこの部署で勤務したいか」という項目

異動希望調査とは、人事部門が各職員に対してどの部署で勤務したいのか希望を取るために実施する調査です。

調査の名前やどのような形式で行われるのか等、自治体によって多少異なってきますが、基本的にどの自治体でも行われているものだと思います。人事調書や職員調書と呼ばれるような調書の中に含まれていることもあるようです。

異動希望調査では、異動希望の有無や、どこの部署で勤務したいか、どういう業務をしたいのか、都道府県であればどの地域で働きたいかといったことが確認されるのが一般的です。

これらの中でも特に「どこの部署で勤務したいか」という項目(=希望する部署についての項目)が重要になります。



希望する部署に配属されるケースは少ないが、組織である以上それは当然のことである

一般的には異動希望なんて叶わないケースがほとんどです。

しかしこれは当然のことだと僕は思います。

自治体も組織ですので、組織としての全体最適を考えなければなりません。そのためには個人の希望よりも組織の事情が優先されてしまいます。このことは役所に限らず、民間企業(特に大企業)でもジェネラリストが多いような組織であれば同じことが言えるでしょう。

極端な話をしますが、全員の希望を叶えようとすると、当然ながら人気の部署に人員が集中してしまいますし、逆に不人気の部署には誰も来てくれないという事態になります。これでは組織として機能しませんよね。

また、仮にAという業務に適性のある佐藤さんという職員がいるとして、その佐藤さんが自分には適性がないBという仕事を希望しているとします。状況にもよりますが、佐藤さんはAという業務に従事したほうが組織全体で考えれば効果的だと考えることができます。

このことを踏まえると、一般的にジェネラリストが多い組織である役所においては、職員の希望は叶いにくいと考えるのが至極当然です。

ただし、これには例外があります。それは希望する部署が多くの人にとって配属されたくない部署の場合です。この場合は、その部署を希望している時点で組織全体のためになる可能性を秘めているため、希望が叶う可能性があります。

【ポイント】内容に説得力のあると希望が通りやすい

一般的に職員の希望は叶いにくいと言いました。ここで勘違いしてはいけないのが、あくまでも「叶いにくい」ということであって「叶わない」ということではないということです。

ではどうすれば、希望を叶えられる数少ない職員になれるのでしょうか?

希望する部署を書く際に、説得力のある希望理由を書けば希望が叶う可能性が高くなる

僕はこのように考えています。

なぜそう考えるか。それをこれから説明しますね。

僕が人事異動を決める人事部門の職員だとします。

僕はまず、身体的なハンデや家庭の事情等でやむを得ないものを最優先します。そして次に優先すべきは、希望理由に納得ができ、且つ希望どおりに配属させることが役所にとって一過性ではなく将来的にも意義があると思えられるものになります。

ということは、

身体的なハンデ等のやむを得ない理由を除けば、希望が叶うかどうかは、いかに人事部門を納得させられるか将来的にも意義があると思わせられるか

この説得力をどれだけ希望理由に持たせることができるか、これがカギを握る!と考えます。



希望理由に説得力を持たせる方法

では、どうすれば希望理由に説得力を持たせることができるのでしょうか。

僕の考えをこれからお話ししたいと思います。

興味があるから?やりがいがあるから?スキルを活かせるから?そんなものはどれも説得力がない

言いたいことはまんま見出しに書いているとおりです。

興味があるから、やりがいがあるから、スキルを活かせるから・・・どれもこれも主観だけで目先しか見ていないと思いませんか?

役所の将来も考慮しつつ組織全体のことを考えている人(=人事部門の職員)が、異動先の調整でくそ忙しい時期にこのような理由を見てどう思うでしょうか?

このあたりをしっかり考えると、僕がなぜ説得力がないと言っているのかが理解できると思います。

必要なのは今後の自分のキャリアや外的環境の変化も見据えた多角的視点での理由

では、将来のことも考慮しつつ組織全体のことを考えている人(=人事部門の職員)には、どういう理由だと希望理由が刺さるのでしょうか。

それは簡単です。

「私だって将来のことや組織全体のことまでしっかり考えていますよ!」

ということが伝わる理由であればよいのです。

具体的に言うと

「目先のことだけにとらわれず自分のキャリアビジョンや今後組織を取り巻く環境の変化まで踏まえたもの」

であって且つ

「自身が組織にとって必要な人材に成長できるというキャリアパスが描けているもの」

であればよい

と思います。

【大事な考え方】将来から逆算して考えよう!

では具体的にどのように希望理由を書けばよいのでしょうか。

簡単です。

将来から逆算して自分が今何をすべきかという逆算の思考で書いていくだけです。

例えばこんな感じです。

○○年後、本県(市)にとって重要になるであろうAという業務において×××という職責で活躍したい。そのためには△△△の知識・スキルが必要になるため、その経験を積むために次はBという部署でCという業務に従事したい。

どうでしょう?説得力があると思いませんか?

このロジックで自分のケースに当てはめて書いてみると良いでしょう。

この考え方に慣れていない方には最初は難しいと感じるかもしれません。そんな方はまずこちらのキャリアパスの正しい考え方【地方公務員(事務系・行政職)向け】をお読みいただくことをオススメします。

キャリアパスの正しい考え方
キャリアパスの正しい考え方【地方公務員(事務系・行政職)向け】事務系の地方公務員がスキルアップするためには自発的にキャリアパスを考える必要があると私は考えています。 この点についてはこちらの記事で...

キャリアパスは考え方さえ正しく理解できていれば必ずきちんとまとめることができるはずです(時間はかかるかもしれませんが)。キャリアパスがまとまりさえすれば、後はシンプルにロジックに当てはめるだけです。

異動希望調査に記入する際のポイント

ここまで読まれた方は、異動希望調査の書き方についてその考え方やロジックは理解できたかと思います。

次は、実際に異動希望調査に記入する際のポイントを説明していきたいと思います。書き方によっても説得力に差が出ますので注意してくださいね。

提出が手書きの場合でもまずはパソコンでしっかりと文章を練る

ポイント1
調書が手書きの場合でも、まずはパソコンでしっかり文章を練りましょう。自分が納得できる文章になるまで何度も推敲すべきです。

何度も推敲して納得できる文章が完成してから実際の調書に記載しましょう。

信頼できる人から希望理由に対する意見をもらう

ポイント2
信頼できる人がいれば、その人に見てもらって意見をもらうとなお良いです。

あなたが本気で考えた希望理由であれば他人に見せられるはずです。逆の言えば、人に見せるのが恥ずかしいような理由には説得力なんてないと僕は思います。

理由欄がない場合はその他とか自由記述欄に書く

ポイント3
希望理由は書かなければ伝わりません。理由を書く欄がないからというだけで書くことを諦めては勿体ないです。どこでもいいので書ける欄があればそこに理由をしっかりと書きましょう。

書いても読まれない可能性だってあります。しかし、書いていないと絶対に読まれません
書いてさえいれば読まれる可能性はあるのでだから、だったら書かないと損ですよね。

記載内容に過去の調査を含め一貫性をもたせる

ポイント4
調査が毎年行われるものであれば、過去の調査に記載した内容と一貫性を持たせましょう。そこに一貫性がないと説得力が落ちます。

先ほど僕が説明したロジックに沿って希望理由を書いていれば、そこには、あなたが考えるキャリアパスが書かれているはずです。

ここで必ず理解しておいてほしいのが

過去に書いたキャリアパスと異なるキャリアパスに説得力はない

ということです。

とはいえ、きちんとした理由があって今後のキャリアパスが変わることだってあり得ます。そういう場合は納得できる理由をきちんと書けば問題ないと思います

震災支援で被災自治体に派遣された際の経験を通して、本県(市)でも○○という分野に力を入れる必要があると感じ、その分野で頑張りたいと思うようになった

これだとキャリアパスが変わっても納得ができますよね。

とはいえ、毎年毎年変わるのはさすがに良くないでしょう。

この辺については、異動先を決めるにあたって何年間分の調査内容が使われるかが役所によって異なると思います。“うちの役所では異動先の決定にあたって過去の異動希望は考慮されていないらしい”なんて噂があったとしても、人事部門経験者でもない限り確実なことはわからないと思いますので、鵜呑みにせず慎重に考えるべきだと思います。



希望が叶わなくても大丈夫!前向きになろう

希望が叶わなくても前向きになる

どんなに説得力のある希望理由を書いても、その希望が叶わないなんてことは十分にあり得ます。むしろ叶わない可能性のほうが高いのではないでしょうか。

今更そんなこと言うの?と思われるかもしれませんが、残念ながら事実です。冒頭で申し上げたとおり、全員の希望を叶えることは無理だからです。

しかし、希望が叶わなくても悲観する必要はありません

未知の仕事に出会えるチャンスと捉える

希望が叶わなかったとしても、行政職(一般事務)には色々な種類の仕事があります。そしてほとんどの人にとって、自分が知っている仕事よりも知らない仕事のほうが遥かに多いはずです。

僕自身経験があるのですが、全然知らなかった仕事でもいざやってみると「すっごく楽しいじゃん!」なんてことが結構ありました。

望んでいない仕事であっても得られることは沢山ある

望んでいない仕事の場合、そもそもその仕事のことをよく理解していないというケースがほとんどだと思います。なので、いざその仕事をやってみると「イメージと全然違った!」なんてことはよくあります。

僕の例を挙げると、生活保護のケースワーカーはあまりやりたくない仕事の一つでしたが、実際にやってみると得られるものばかりで行政マンとしてすごく成長できました。今ではその仕事ができて良かったとすら思っています。このことについては↓の記事にまとめています。

公務員が生活保護ケースワーカーを経験することで得られる3つのメリット【実体験から解説】あまり良い印象を持たれていない仕事の一つに生活保護ケースワーカーがあります。しかしこの仕事、実は公務員にとってメリットが多い仕事なんです。そのメリットを3つ、実際に生活保護ケースワーカーの経験がある僕が理由とともにお教えします。...

前向きになろう

これらのことは、キャリアデザイン論において金井壽宏教授(神戸大学大学院)が提唱している「キャリアドリフト」と呼ばれるキャリア理論にも当てはまりますし、考え方としても間違ってはいないと僕は思います。

AKASHI
AKASHI
「キャリアドリフト」が気になった方はぜひご自身でも調べてみてください。

人間誰しもモチベーションが上がる仕事や自分の価値を発揮できる仕事をしたいと思うのは当然です。
しかし、それに固執していては成長速度が落ちてしまいます。

行政マンも一社会人です。自分のキャリアパスを明確にして、それに沿ってキャリアを積み上げていくことが理想的ですが、軌道修正しながら成長していくことだって十分に価値はあります。むしろ事務系公務員の場合はそのようなキャリアパスを歩む人のほうが多いと思いますし、そのような人が出世したり多大な成果を上げたりすることは稀ではありません。このことを考えると、どの部署で仕事をするかはさほど重要ではないということが理解いただけると思います。

行政マンである以上、異動はずっと付きまとってきます。平均5年で定期異動するとしても、定年までに7~8回は異動を経験する計算になります。

希望する部署にいけなかったとしても、それはこの先希望する部署に異動できたときにそこでベストなパフォーマンスを発揮するための成長機会だと捉えて、前向きになれば良いのです。

まとめ

本記事の要点をまとめます。

要点
  • 異動希望調査で書いた希望の部署に行けることは稀
  • しかし、説得力のある希望理由を書くことで希望が叶う可能性は高くなる
  • 説得力のある希望理由にするコツは、将来像から逆算しながら今後のキャリアパスを描くということ
  • 希望理由を書く際は推敲をしてしっかり考えること(人から意見をもらうとなお良し)
  • 希望が叶わなくても悲観せず前向きになろう

いかがだったでしょうか。

今回は、「異動希望を通るためにはどうすればよいか」という点にフォーカスした記事ですが、本質は次の2点だと思っています。

  1. 「自分のキャリアパスをしっかり考えよう!」
  2. 「希望する部署に異動できなくてもそこでベストを尽くすことが今後につながる」

公務員は得てして公務員になった時点で自分のキャリアに満足してしまいがちです。
果たしてそれで良いのでしょうか。

ありきたりな言い方をすれば、

あなたは公務員になってようやくスタート地点に立った

と言えます。

そこからどう成長してどう自治体に還元していくか。そのことをしっかり考えて業務に励むことが重要だということを覚えておいてほしい。僕はそう思います。

本記事があなたの公務員人生の一助になれば幸いです。

それではまた。

ABOUT ME
AKASHI
頑張る公務員の味方! 関東在住の30代。某県庁で10年ほど勤務した元公務員です。 財政課、市町村課、生活保護ケースワーカー、個人情報保護担当部署を経験。 詳細プロフィールはコチラ