私は県庁に採用されてすぐに財政課に配属されました。最初の配属が財政課です。財政課と言えば、数ある公務員の部署の中でも1、2を争う多忙な部署として有名です。一方で、花形部署やエリートが配属される部署とも呼ばれることがあります。
そんな財政課で私は20代の多くを過ごしたわけですが、そこでの業務はやはり多忙でした。しかし、その多忙な分だけ、財政課での経験は大変貴重なものでした。
財政課から異動してから財政課以外の部署を複数経験した今、財政課での経験で得たものと失ったものについて振り返ってみたいと思います。
財政課での仕事はツライことばかりだったが、なんとか結果を出せた
財政課での仕事は本当に大変でした。
残業や休日出勤なんて当たり前だし、緊張感のある仕事ばかりで毎日ヘトヘトとでした。
当時私は20代で財政課の中でも最年少でしたが、その中で人一倍働いて人一倍勉強して、なんとか財政課で結果を出すことができました。
私の財政課での経験はこちらの記事に書いているとおりです。
先に断っておきますが、今回お話しする財政課での経験で私が得たものと失ったものは、上の記事に書いているような働き方をしたという前提に上に成り立っているものであるということを踏まえた上でお読みいただければと思います。
財政課で得たもの
財政課で得たものは沢山あります。中でもメリットの大きいものを3つご紹介します。
職員としての成長
一つ目は自身の県職員としての成長です。
財政課から異動した後はどの部署に行っても仕事をこなせました。
自分で感じる成長面は以下のような感じです。
- どこの部署でも必要となる割には詳しい職員がそんなにいない予算と議会にかなり詳しくなっていた
- 財政課では役所全体を俯瞰した視点での仕事が多かったので、役所の仕事の流れが自然と身に付いた
- 大量の仕事を短納期で処理することが多かったため、ToDo管理や優先順位をつけて処理する習慣が自然と身についていた
- 役職が上の職員との折衝が多かったため、上司や先輩にだって物怖じせず物申せるようになっていた
仕事で関わった多くの方々との強固な関係
仕事柄、財政課での仕事を通じて人脈がかなり増えました。通常の若手職員ではなかなか得られないような人脈です。しかも、私が財政課を出た後も困ったときに助けてくれるような方も沢山います。実際に何度も助けてもらいました。
財政課時代の上司や先輩は、困難な仕事を一緒に成し遂げた同志のような関係です。きついときを一緒に過ごしたからこそ強い仲間意識が芽生えたと思います。なので、私が困ったときに助けてあげたいと思ってもらえるのだと思います。
予算査定で担当していた部局の方とも良い関係を築けました。少なからず迷惑もかけたはずですが、今となっては彼らとも同志のような関係です。当時は利害関係が一致しない関係でしたが、役所全体で考えると同じ方向を見て仕事をしていたわけです。お互い仕事が変わってしまえば、こちらも大変なときを一緒に過ごした間柄なわけです。
同年代と比べて少し多めの貯金
少し生々しい話になりますが、貯金もかなり増えました。
数年間ほぼ仕事しかいないわけですから当然と言えば当然でしょうが。
- 残業代による大幅な収入増
- 仕事以外の時間がないことによる支出減
具体的な金額は言えませんが、同年代の職員ではかなり切り詰めないとできないくらいの貯金ができました。
財政課で失ったもの
得たものは沢山ありましたが、その分失ったものもあります。
20代の貴重な時間
やはりこれが失ったもので一番大きいです。
20代のうちの数年間をほぼ仕事だけに費やしました。
たった一度きりの人生です。
仕事でそこまでの高得点を取ろうとはせずに、もう少しプライベートに時間を費やしてもよかったのではないか
と考えることがあります。そのときにしかできないことが沢山あったはずですから。
当時の恋人
当時付き合っていた恋人とも別れました。仕事が最優先、次は睡眠・休養、その次は勉強です。彼女の優先順位はかなり低いものでした。別れたのは当然のことだと思います。
別れた後も出会い自体は沢山あるのですが、食事や遊びに行く時間が取れないため、その先まで進展することもありませんでした。
少し余談になりますが、私がいた当時、財政課は30歳前後の職員が多くいました。ちょうど子供が生まれる頃ですね。そんな中でも仕事を優先せざるを得ずに夫婦関係が上手くいっていない職員も結構いました。
最後に
以上、20代で財政課に配属された私がそこでの経験で得たものと失ったものでした。
ここまで読んで、こんな質問を私にしたいと思った方もいるかもしれません。
「トータルで考えると得たものと失ったものどちらのほうが大きいか?」
疑問に思って当然だと思います。
この質問に対する私の回答は、
「得たもののほうが大きいと思っている。ただし、もう一度経験したいかと言われると経験したくない。」
というのが正直な気持ちです。
だから私は、20代のうちに財政課を経験したほうがいいですよ!なんて軽い気持ちでオススメしたりはしません。
ただ一つ言えることは、大変な仕事は最後までやり遂げれば、必ずその大変な分だけ自分の糧になるということです。
財政課に配属が決まった方や今現在財政課での仕事がツライと思っている方のお役に少しでも立てれば幸いです。