財政課で予算査定をしていたとき、仕事で行き詰まったことがあります。
そのときに僕を助けてくれたのは事業課の係長さんでした。
当時の出来事とその経験から学んだことをまとめました。
当時の出来事を振り返ります
まずは当時どんな出来事があったのかをお話ししたいと思います。
予算査定で締切に追われる
僕が財政課で予算査定をやっていたとき。財政課でイケイケだった20代のことです。
当初予算の査定を死に物狂いでやっていたのですが、査定案の提出締切が月曜朝というなか、金曜日時点でまだ終わっていませんでした。
月曜朝の締切に間に合わなかった場合、僕以外の査定担当のスケジュールにも影響するため、絶対に遅れることはできません。
結局、そこから泊りがけで土日出勤へと突入です。
万事休す!査定に行き詰った土曜夜
順調に一つ一つ査定案を仕上げていたのですが、土曜夜になってとある事業の査定で行き詰りました。
僕「これ、事業課に確認しないと絶対にわからんやつやん・・・」
チーン・・・
土曜の夜に聞くのは流石にマズイってのはわかるけど、確認しないと先に進めないし・・・
どうにかできないかあれこれ考えましたが、良い策は浮かばず。
事業の担当者(係長さん)に泣きの電話
追い詰められた当時の僕は、土曜夜にも関わらず事業課の担当者に泣きの電話をかけることにしました。
時刻は午後8時。
その時なぜか「もしこれから、めちゃイケ観ようとしてたところだったらどうしよう?」とかどうでもいいことを気にしていました(笑)
人間追いつめられると変なこと考えるんですね。
事業の担当者、すなわちこれから電話する相手は係長さん(当時40歳前後)です。以降「係長さん」と呼びます。
このときは絶対にキレられるだろうなと覚悟を決めて電話しましたね。
まあ、もしキレられたこっちも逆ギレしてやる!
くらいには当時の僕は尖ってましたけど(苦笑)
僕、ひどい奴ですね。
係長さんとの電話のやり取り
係長さん「もしもし」
僕「あっ、休みの日にすみません!財政課のAKASHI(僕)です。夜分にすみません、ホントすみません。あの・・・すみません、ちょっと○○事業の件で・・・すみません!確認したいことがあって・・・すみません!」
係長さん「大丈夫ですか?落ち着いてください。○○事業の件で確認したいことがあるってことですか?」
僕「そうなんです。休みの日にも関わらず本当にすみません。ヒアリングのときに確認が漏れてました。本当にすみません。△△△のところがわからなくて査定案を作れなくて困っていて・・・」
係長さん「そこですね。ちょっと複雑なので、これから県庁まで行きますね」
僕「えっ!?本当ですか?本当に助かります。ありがとうございます!お願いします!!」
マジか!?マジなのか!?この人神なのか?
ものすごく普通に来てくれるって言ったよ、このお方・・・
係長さんはスーパーゴッドだった!
待つこと1時間。係長さんが来てくれました。
自宅から県庁まで片道30分くらいかかるそうです。本当に申し訳ない。
そんな片道30分かけて駆けつけてくれた係長さんですが、なんと差し入れまで持ってきてくれていました!!
神どころじゃないですね。もはや超神です、スーパーゴッドです!
僕 「迷惑をかけてすみません。そして差し入れまでいただいて本当にありがとうございます。」
と僕が感謝の気持ちを伝えると、係長さんはさらりと言いました。
係長さん 「立場は違うけど、この事業のことを本気で考えてくれている時点でチームみたいなもんだよ。チームのメンバーが困っていたら助けるのが当然でしょ。」
・
・・
・・・
あぁ、目から汗がでる
自分の段取りが悪かったのが原因なのに、ここまでしてくれてそんなこと言われたら泣くよ。
仕事中に泣いたのはそのときが最初で最後です。
無事に査定は終わり・・・
係長さんのおかけで、査定案は無事に完成し、その事業の予算も問題なく通すことができました。
僕としては、迷惑をかけてしまったな~という申し訳なさしかなかったわけですが、係長さんに予算が通ったことを伝えるとすごく感謝されました。
ちなみに、その係長さん(今は出世して係長よりもっと上ですけどね)とは公務員を辞めた今でも付き合いがあるし、社会人の先輩として本当に尊敬しています。
この経験から学んだこと
この経験から色々学んだのですが、僕のなかで大事な気づきが3つありました。
- 安易に土日を当てにすることのリスク
- 財政課と事業課が敵同士だとは限らない
- 組織を超えた助け合いの精神が自治体を強くする
一つずつ説明していきます。
① 安易に土日を当てにすることのリスク
まずはこれですね。
時間外でも同様のことが言えるのですが、「土日に頑張ればなんとかなるでしょ」という安易な考え方はリスクを伴うということです。
土日を使って仕事をすればその分仕事を進めることができる。これ自体は正しいのですが、自分だけでは解決できない問題に遭遇したときに一瞬で詰みになる恐れがあるということです。
今回の話の場合でも、もし係長さんが電話に出てくれなかったら、旅行に行っていたら、、、そのときはたぶん締切には間に合ってなかったと思います。
② 財政課と事業課が敵同士だとは限らない
二つめがこれ。
財政課にいるとき僕は、事業課の担当者は全員が財政課のことを敵視していると思っていました。そのように感じる出来事が実際に何度もあったからです。
しかしながら、係長さんはそんなことは思っておらず、むしろ仲間のように思っていてくれたことが分かりました。
財政課と事業課との間でもしっかりした信頼関係は築ける
この気づきはその後の県職員生活でも大いに役立ちました。
③ 組織を超えた助け合いの精神が自治体を強くする
「他部署の職員が困っていても自分には関係ない」
そんな風に思っている職員が多いのは事実です。
しかし、本当にそれでいいのでしょうか?
同じ自治体で働く職員どうしですよ。
係長さんに助けてもらったときの気持ちを僕は絶対に忘れることはありません。あのとき係長さんに助けてもらえなかったらあの事業は予算がつかなかったかもしれません。大事な事業だったので、もしそうなっていたらそれは県にとって大きな損失だったはずです。
だから、僕は係長さんと同じように、困っている職員がいれば部署が違っても助けてあげようと心がけて働いてきました。それがきっと組織全体の力になると信じて。
そして、この思いは県職員を辞めた今でも持っていますし、当ブログを始めた理由にも大きく関係していたりします。
なので、一人でも多くの地方公務員の方が本記事に共感してくれることを願ってこの記事を締めたいと思います。