説明していても、とにかくメモを取ることに必死の新採さんってたまにいますよね。
きちんと理解もできているメモ魔さんであればよいのですが、きちんと理解できていない(むしろ誤って理解しているような)メモ魔さんはかなり問題ありです。
今回はそんな新人さんを指導する立場の方がどのように対応するべきか、というテーマでお話ししたいと思います。
- メモを取ることばかりに集中して肝心の理解ができていない新人さんを指導する立場の方(上司や指導係の先輩)
はじめに理解すること
今回の話をするにあたっては、はじめに理解しておかなければならないことがあります。
メモを沢山取ることが一概にダメというわけはない
メモを沢山取ること自体がダメだというわけではないことをまず理解しておく必要があります。
メモを沢山取っていても聴いている内容をきちんと理解していれば問題ありません。
むしろ、メモを沢山取っているということ自体は望ましいことです。
メモを沢山取っているのに中身を理解できていないことが問題
問題なのは
聴いている内容を理解できていない
というところにあります。
一生懸命に頑張ってメモを取ったのに内容をイマイチ理解できていない、場合によっては誤って理解している、こういう状況が問題だということです。
メモを取っている本人はすごく頑張っているのに、それが報われないわけですからね。
教える側も教えられる側もどちらも不幸でしかありません。
メモの取り方を教えるのは指導員の大事な役目
メモは一生懸命取るけど内容を理解できない新人には、指導する立場の人が何よりもまずメモの取り方を改善させることが重要です。
それをしないとその新人の成長が確実に遅くなるからです。
内容をきちんと理解できないわけですから、仕事でミスをする、一度説明を受けたことを何度も聴く、判断に時間がかかる、といった状況に陥りやすくなります。
取引先や関係部署から怒られることもあるでしょうし、やる気がなくなったり、心を病んだりとメンタル面への影響も想定されます。
一方で、状況が悪化することによって本人が自ずから問題点に気づき、改善できるケースもあります。
しかし、それは確実なものではないのでそれを期待するのは正しい選択とは言えないでしょう。
となれば、誰かが教えてあげる必要があるのですが、仕事でやり取りをする取引先や関係部署の人がメモの取り方について指導してくれるなんてことはそうそうありません。
それゆえ、指導する立場の人が教えてあげる必要があるということになります。これは、指導する立場の人の大事な役目です。
「メモばかり取るな」と言う指導はオススメしない
メモを取ることに集中して理解がイマイチな新人への対応として、「メモばかり取るな」と指導する人がいます。
しかし、これを言うだけで改善されることはまずありません。
そこには理由もなければ、代わりに何をすべきかという視点もないからです。
加えて、言い方によっては「一生懸命にメモを取っているのになんで怒られなければならないのか?」と思わせてしまう可能性もあります。
したがって、「メモばかり取るな」という指導はしないほうが良いでしょう。
では具体的にどのように指導していけばよいのでしょうか。
次にそのことをお話ししたいと思います。
具体的な指導の方法
メモを取ることに集中して理解がイマイチな新人に対しては、次の2ステップで指導してあげるとよいです。
- メモを取る目的の大前提を理解させる
- 敢えてメモを取らなくても良い状況を作る
①メモを取る目的の大前提を理解させる
メモばかり取って内容を理解できない人の多くは、メモを取る目的は理解しているものの、その目的の大前提が疎かになっています。
もう少し具体的に説明します。
メモの目的は大体こんなところですね。
- 聴いた内容を忘れないため
- 真剣に聞いていることを相手にアピールするため
たしかにこれが目的なのですが、この目的には大前提があります。
それは、聴いた内容をその場で正しく理解するということです。
聴いた内容を正しく理解した上で、それを忘れないようにメモを取るわけですし、そうやって真剣に聴いているよと説明者にアピールするというわけです。
目的は正しくてもその目的の前提にある肝心なことが崩れてしまっていたら、つまり、訊いた内容を正しく理解できていなければ、その目的は意味を成しません。
このことは説明する(教える)側の視点からも同様のことが言えます。
説明する(教える)側は相手に理解してもらうために説明して(教えて)います。つまり、目的は理解してもらうことです。その上で、その理解してもらったことを忘れないでいてほしいという願いも説明する(教える)側は持っています。メモを取るという行動はあくまでもその願いに応えるための方法の一つというわけです。
したがって、説明する(教える)側からすれば、正しく理解してもらえなかったのであれば、たとえ一生懸命にメモを取っていたとしても目的は達成できなかったということになります。
このように、説明する(教える)側の視点からも、メモを取ることの大前提には「正しく理解する」という必須条件があるということが分かるかと思います。
以上のことをまとめますと、指導する際には、メモを取る目的とその大前提について十分に説明をして正しい理解を身につけさせる、これが何より最初にやるべきことになります。
②敢えてメモを取らなくても良い状況を作る
メモを取る目的とその大前提を理解させたら、次はメモの取り方の概念を変えてあげる必要があります。
そのためにオススメなのは、指導する立場の人が何かを説明したり教えたりする際に敢えてメモを取らなくても良い状況を作ってあげる方法です。
特に、口頭だけで説明を済ませたいような場面、つまり、口頭だけで説明をして必要なことはメモってねっていう状況を想像してもらえればと思いますが、そんな場面でも、メモをほとんど取らなくてもいい状況を作って説明するということをします。
具体的にはこんな感じです。
- 簡単にポイントをまとめた紙を渡してそれに沿って説明をしてあげる
- 事前に準備できないときは、説明しながら相手(教わる側)が見える位置で自分(教える側)がポイントをまとめていく
これをすることで、一旦メモから解放され、理解をするという行為に集中できるようになります。そして、正しく理解が出来たところでポイントを見返してもらえば、最低限必要なメモが何なのかということを理解してもらえるはずです。
あとは、それを何度か繰り返してあげれば段々とメモの取り方が改善されていくと思います。
特に、やる気のある子であったら、書籍等を利用してメモの取り方をもっと改善しようと自発的に努力してくれると思います。
メモを一生懸命取るような子は元来マジメですので、課題とその解決の方向さえしっかり示してあげれば、あとは自分でしっかりやってくれることが多いです。
とはいえ、はじめのうちはいちいち自分がポイントをまとめなければならないので結構面倒臭いですが、指導とはもともと面倒なものですからね。
終わりに
新人さんの成長は誰に指導されるかで大きく変わってきます。
したがって、指導する立場の方は本当に責任のある仕事を任されているという自覚が必要です。その自覚がない方がたまにいますし、自覚があっても正しく指導できていない方も目にします。
今回、メモの取り方についてお話ししましたが、指導する立場の人が正しく指導してあげないと新人さんの成長の機会を奪ってしまうことは沢山あります。
指導する立場にある方は、自分が教えなかったらほかに誰も教えてくれないようなことがないかしっかり考えて、もしあれば正しく指導してあげることが新人さんの成長を促します。
そのことをしっかりと理解して、指導にあたってほしいと思います。