オススメの本

【地方公務員なら読んでおきたい】日本の地方政府-1700自治体の実態と課題(曽我謙悟)

『日本の地方政府-1700自治体の実態と課題』(曽我 謙悟【著】)を読みました。

地方自治体のこれまでの軌跡からその実態まで網羅された教科書的な一冊です。僕は11年県職員として働きましたが、恥ずかしながら知らないことが沢山ありました。

2019年4月に発行された本です。僕が県職員時代にはまだこの本は存在していませんでしたが、県職員時代に読んでおきたかったと思う一冊です。

この本には日々の仕事に直接活かせるようなことが書かれているわけではありません。しかし、地方自治体で働く以上、知っておくべき「地方自治体の全体像」が書かれている良書です。

内容紹介

日本には都道府県47、市790、町745など、1700を超える地方政府がある。一般に地方自治体、地方公共団体と呼ばれ、行政機構のみが存在する印象を与えてきた。だが20世紀末以降の地方分権改革は、教育、介護、空き家問題など、身近な課題に直面する各政府に大きな力を与えた。本書は、政治制度、国との関係、地域社会・経済の三つの面から、国家の2.5倍の支出と4倍の人員を持つ地方政府の軌跡、構造と実態を描く。

中公新書 –  中央公論新社HPより引用

目次

目次はこのような構成です。

序 章 地方政府の姿―都道府県・市町村とは
第1章 首長と議会―地方政治の構造
第2章 行政と住民―変貌し続ける公共サービス
第3章 地域社会と経済―流動的な住民の共通利益
第4章 地方政府間の関係―進む集約化、緊密な連携
第5章 中央政府との関係―国家との新たな接続とは
終 章 日本の地方政府はどこに向かうか

どの章もすごく勉強になります。
特に、地方自治体の人事・組織という点に触れている第2章、そして地方自治体間の関係や有り方について書かれた第4章は必見です。

また、都道府県職員であれば国と地方の関係を扱う第5章も読む価値ありです。

時間のない方には2章と4章だけでも(都道府県職員なら5章も)読んでほしいです。

著者紹介

曽我 謙悟(そが けんご)
1971(昭和46)年兵庫県生まれ。94年東京大学法学部卒業。同年東京大学大学院法学政治学研究科助手。97年大阪大学法学部助教授、神戸大学大学院法学研究科教授を経て、2015年より京都大学大学院法学研究科教授。専攻、行政学、現代日本政治。

京都大学大学院の教授をされています。
国内の政治や行政の分析が専門の方で、ゲーム理論を用いた研究をされているようですね。

この界隈ではかなり著名な方で本も沢山書かれていますが、恥ずかしながら存じ上げなかったです。

おすすめポイント

「市町村と都道府県の役割分担ってどうなっているの?」

「中核市、指定都市ってなぜできたの?」

「予算要求や議会答弁を作成するとき、なぜ他団体の動向を気にするのだろう?」

「いまいち国と地方の関係がわかんないなあ・・・」

行政に携わる地方公務員がわかっているようで意外とわかっていないことを学べる一冊です。

第4章 5.指定都市・中核市と大阪市の挑戦

特別市制度の要求と挫折、指定都市制度、中核市と特例市についてその変遷についてしっかりまとめられています。

また、大阪都構想についても分かりやすく分析されています。恥ずかしながらイマイチよく理解していなかったのですが、読んで「なるほど!そういう背景があるのか」となりましたね。

大都市における基礎自治体のあり方と、都市間競争に置かれる都市の経営をどのような形で担っていくのか、それを国任せではなく地方政府と住民の手で、どのように実現していくのかが問われている。これは大阪でこそ最も問われる問題であると同時に、大阪だけに限られる問題ではない。

まさにそのとおりだと思います。

第4章 6.密接な「相互参照」‐ 総体の政策形成能力

事業を検討する際に行いがちな他自治体への照会。この本では「相互参照」という用語で分析されています。

互いに他の地方自治体の政策を参考にして政策をつくる、これを総体としての政策形成能力と説明されていてすごく興味深かったです。

具体例として景観条例や情報公開条例を取り上げ説明されていて、とても分かりやすいです。

第5章 中央政府との関係 ‐ 国家との新たな接続とは

内務省による統制から、機関委任事務・義務付け枠付け、地方分権改革(第一次地方分権改革~三位一体の改革~第二次地方分権改革)、そして補助金や地方交付税といった国と地方自治体の関係から地方自治体の特徴について深く分析されています。

財政や地方分権に携わる職員以外の方でも知っておきたい内容だと思います。

まとめ

この本、読まれるとすぐ気づくと思いますが、参考文献の量がすごいです。その分、情報量が多く少々分かりづらい部分もあり、ついていくのが大変です。しかし、これほど網羅的に書かれた本は初めて読みました

新書判でページ数は272ページ。さくっと読めます。定価も860円(税別)とリーズナブルです。

興味のある方はぜひ読んでみてください。

ABOUT ME
AKASHI
AKASHI
関東在住の30代。某県庁で10年ほど勤務した元公務員です。 財政課、市町村課、生活保護ケースワーカー、個人情報保護担当部署を経験。 詳細プロフィールはコチラ