地方公務員が絶対に理解しておかなければならない知識の一つに「個人情報」があります。
「ほとんどわかってない…」
なんて方もいるかもしれませんが、実はそれ非常に危険な状態です!
「えっ!個人情報なんて俺には関係ないよ!」
ってお思いの公務員の方、そんな方はまずこちらの記事をお読みください。
「個人情報って大事だと理解しているけど、なかなか勉強する時間が取れなくて、いまいちよく分かっていないんだよねー」
という真面目で忙しい公務員の方、本記事はそんな方向けに書いています。
個人情報について理解したいと思っていても、担当業務で忙しくてなかなか勉強する時間が取れないですよね。わかります。私もそうでした。
そこで今回は、個人情報と特定個人情報を超簡単に説明します。
3分もあれば読めると思います。
(最初に)自治体の個人情報保護は自治体ごとに異なるという点を覚えておく
個人情報とは何か?という説明に入る前に必ず覚えておいてほしいことがあります。
地方自治体の個人情報保護は、「個人情報保護法」ではなく、団体ごとに存在する「個人情報保護条例」に従います。
つまり、地方自治体の個人情報は厳密には自治体によって異なります。
そのため、細かいところまできちんと理解するには、自団体の個人情報保護条例やそれに関連する規則等を理解する必要があります。
とはいえ、個人情報保護条例は、行政機関個人情報保護法や他の自治体の条例と基本的な部分は共通しています。
安心してください!本記事ではどこの自治体でも通用するように説明しています!
なお、「自治体の個人情報保護が個人情報保護法ではなくて個人情報保護条例だよ!」という点については、こちらの記事に詳しくまとめています。
個人情報とは
ではまず、個人情報とは何か?というところから説明します。
「生きている個人の情報」かつ「それが誰の情報かわかってしまうもの」
超簡単に説明します。
個人情報とは次の2つを満たすものだと考えてればOKです。
- 生きている個人の情報
- それが誰の情報かわかってしまうもの
具体例として、千葉県の個人情報保護条例を見てみます。
時間がない方は読み飛ばしても問題ないです。
千葉県の保護条例における個人情報の定義
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)個人情報
生存する個人に関する情報であって、次のいずれかに該当するものをいう。
イ 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
ロ 個人識別符号が含まれるもの
条文中の「生存する個人に関する情報であって」の部分が「生きている個人の情報」ですね。
そして、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」の部分が「それが誰の情報かわかってしまうもの」という説明につながります。
ポイントは次の3つです。
- 生きている人の情報(死者は含まない)
- 個人の情報(法人は含まない)
- 誰の情報か特定できるもの(それだけでは誰の情報か識別できない場合は個人情報には該当しない)
基本的にこのように覚えておけば問題ないです。
ただし、厳密な定義については必ず自治体の個人情報保護条例を確認するようにしてください。また、「個人識別符号」については下記を参考にしてください。
本記事は「超簡単な説明」を謳った記事ですので割愛しています。
どんなものか知りたい方はこちらの個人情報保護法ハンドブックのP4にわかりやすい説明があります。そのほか、自治体の個人情報保護担当部署に確認してもよいでしょう。
個人情報保護法ハンドブック|個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/kojinjouhou_handbook.pdf
「死者の情報」を個人情報に含むかどうかは自治体次第
行政機関個人情報保護法では死者の情報は個人情報に含まないため、それをベースに本記事では個人情報の要件として「生きている個人の情報」と説明しました。
しかし、すべての自治体において死者の情報が個人情報に該当しないわけではありません。
実際には死者の情報を個人情報に含む自治体もあります。
宮城県なんかがその例ですね。
(定義)
第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1)個人情報 個人に関する情報であって,次のいずれかに該当するものをいう。
イ 略
ロ 略
【解釈】
1 第1号「個人情報」
(1)本号は,条例の対象となる個人情報の範囲を定めたものであり,生存者に限らず死者も対象とするものである。
「生存者に限らず死者も対象とする」と書かれていますね。
このような規定は宮城県に限らず複数の自治体で見られます。
自分の自治体では死者の情報が個人情報に該当するのかどうか、必ず確認するようにしてください。
特定個人情報とは
個人情報とよく似た用語として「特定個人情報」があります。
「特定個人情報」はマイナンバー制度が始まったことで登場した用語です。
2017年からはマイナンバーを利用した情報連携も始まっていますので、地方公務員として働く以上、特定個人情報とは何か?という点を無視することはできません。
というわけで、「特定個人情報」とは何かという点についてもご説明しておきます。
と勿体ぶっていますが、実は簡単です。
特定個人情報とは、マイナンバー(個人番号)を含む個人情報のことです。
参考に個人情報保護委員会が公開している資料を出してみました。
上の資料でも記載されていますが、マイナンバーも個人情報に該当するということになります。
当然ですが、マイナンバーを含む個人情報が特定個人情報ですので、特定個人情報も個人情報です。
ですので、マイナンバーを取り扱う際も個人情報を扱うときのルールを守る必要があるということを必ず覚えておきましょう。
ちなみに、マイナンバーを取り扱う際は、個人情報保護条例だけでなく、マイナンバー法(番号法)も適用されます。個人情報と特定個人情報の取り扱いで異なる点がありますので、注意が必要です。
この点についてですが、このテーマだけでかなりのボリュームになってしまいますので、本記事では割愛させていただきます。とはいえ、重要なことですので、いずれ記事にしたいと思っています。
まとめ
まとめると以下のとおりです。
個人情報
- 生きている人の情報(死者は含む場合もあり)
- 個人の情報(法人は含まない)
- 誰の情報か特定できるもの(それだけでは誰の情報か識別できない場合は個人情報には該当しない)
特定個人情報
- マイナンバー(個人番号)を含む個人情報
- 特定個人情報も個人情報なので取り扱う際は個人情報を扱うときのルールを守る必要がある(ただし、取り扱いのルールに異なる点もある)
以上、個人情報と特定個人情報の超簡単な説明でした。
個人情報保護についてもっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。